学術情報:栄養素の解説

機能性成分

ラクティウム

LactiumTM(ラクティウム)は、乳タンパクの加水分解物です。ミルクを飲んだ後に赤ちゃんが体内で生成するリラックス成分をヒントにフランス・イングレディア社によって開発されました。

ヒトでの臨床試験で、ストレス(→1-①)に対する有効性が示されています。

副作用の報告は無く、多量に服用したとしても催眠作用はありません。タンパク質の加水分解物であるため通常のタンパク質に比べてアレルギーの原因になりにくく、また乳糖を含まないので消化不良を起こしません。


魚油

魚油は魚から採取される脂肪油で、ドコサヘキサエン酸(DHA)やエイコサペンタエン酸(EPA)といったオメガ3系と呼ばれる不飽和脂肪酸を多く含んでいます。

ヒトでの臨床試験で、血中脂質の改善(→1-①)、心血管疾患発症リスクの低減(→2-①)に対する有効性が示されています。

通常食品に含まれる量を経口摂取する場合、おそらく安全と思われますが、1日3g以上の大量摂取では危険性が示唆されています。妊娠中および授乳中は食事に含まれる量であればおそらく安全と思われます。


EPA(エイコサペンタエン酸)

EPAは、オメガ3系(n-3系)の不飽和脂肪酸で、イワシなどの青魚の脂肪に含まれる必須脂肪酸の一つ。魚やアザラシを常食するイヌイットでは、脂肪摂取量が多いにもかかわらず血栓症や心疾患が非常に少ないことから注目された栄養素です。

ヒトでの臨床試験で、潰瘍性大腸炎(→1-①)、リウマチの改善(→2-①)、中等度の肥満・高血圧患者の体重減少(→3-①)、うつ治療の補助剤(→4-①)、アレルギー(→5-①)に対して有効性が示されています。「中性脂肪が気になる方の食品」という表示で、EPAを関与成分とした特定保健用食品が許可されており、また高純度のEPAエチルエステルは、高脂血症の治療薬として使用されています。

安全性については、適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われますが、大量摂取の危険性が示唆されており、米国FDAの限定的健康表示規格では、サプリメントからの摂取はDHAとEPAを合わせて1日2gを超えないようにとされています。妊娠中・授乳中の安全性については充分なデータがないため、魚などの食品から摂取する以外は避けることとされています。


DHA(ドコサヘキサエン酸)

DHAは、オメガ3系(n-3系)の不飽和脂肪酸で、主に魚に含まれる必須脂肪酸の一つ。

ヒトでの臨床試験で、トリグリセリド低下作用(→1-①)、アレルギー(→2-①)、乳児の視力向上(→3-①)、潰瘍性大腸炎(EPAと共通)、中等度の肥満・高血圧患者の体重減少(EPAと共通)に対して有効性が示されています。また、「中性脂肪が気になる方の食品」という表示で、DHAを関与成分とした特定保健用食品が許可されています。

安全性については、適切に用いれば経口摂取でおそらく安全と思われますが、大量摂取の危険性が示唆されており、米国FDAの限定的健康表示規格では、サプリメントからの摂取はDHAとEPAを合わせて1日2gを超えないようにとされています。妊娠中・授乳中の安全性については十分なデータがないため、魚などの食品から摂取する以外は避けることとされています。


α(アルファ)リノレン酸(ALA)

αリノレン酸は、オメガ3系(n-3系)の不飽和脂肪酸で、アマニ油、エゴマ油、シソ油に多く含まれる必須脂肪酸。

ヒトでの臨床試験で、心血管疾患の予防(→1-①)に対する有効性が示されています。

安全性については、食品中に含まれる量であれば、経口摂取でおそらく安全と思われますが、多量摂取した場合の安全性については信頼できる充分なデータがありません。

オメガ3系とオメガ6系 (リノール酸やγリノレン酸)をバランスよく摂取することが望ましいとされています。


リノール酸

リノール酸は、オメガ6系(n-6系)の不飽和脂肪酸で、ヒマワリ油や綿実油などに多く含まれる必須脂肪酸の一つ。血清コレステロール値を低下させる効果があるとされていますが、善玉(HDL)コレステロール値も同時に下げてしまうこと、代謝産物のアラキドン酸を増加させアレルギー反応を悪化させること、過酸化脂質を増加させることなども示されており、現在のところ、欠乏症の予防や改善以外のヒトでの有効性・安全性について信頼できるデータは充分ではありません。

オメガ3系の不飽和脂肪酸(EPAやDHA)とのバランスを取った摂取を心がけましょう。


γ(ガンマ)リノレン酸(GLA)

γリノレン酸は、オメガ6系(n-6系)の不飽和脂肪酸で、体内でもリノール酸から合成されます。食品中にはあまり含まれていませんが、ボレイジ油、月見草油には多く含まれています。γリノレン酸が代謝されてできるプロスタグランジンE1は、体内でさまざまな生理機能を持ちます。

ヒトでの臨床試験で、糖尿病由来の神経障害(→1-①)や関節リウマチの症状の軽減(→2-①)に対して有効性が示されています。

安全性については、適切に摂取すれば経口摂取でおそらく安全と思われますが、妊娠中・授乳中の安全性については充分なデータがないので摂取を避けた方がよいでしょう。抗凝血作用のあるハーブやサプリメント、医薬品との併用で、出血傾向が高まることがあるので、注意が必要です。


オレイン酸

オレイン酸は、オメガ9系(n-9系)の不飽和脂肪酸で、オメガ3、6系不飽和脂肪酸と違い、必須脂肪酸ではありません。オリーブ油に多く含まれており、オリーブ油を主な油脂源としている地中海沿岸諸国の人々が、かなり多くの脂肪を摂取しているにも関わらず、冠状動脈性心疾患が少ないことから注目されました。

悪玉(LDL)コレステロールだけを下げるという特長が知られており、循環器系疾患のリスクを減らす可能性が示唆されています。また、リノール酸などに比べて酸化されにくいこともオレイン酸の特長の1つです。

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